パナマの野生蘭

Hexisea属

Hexisea属の蘭はパナマには2種類が知られている。この属の蘭は着生種で、古いバルブの上に新しいバルブができ、しばしばScaphyglottisとして扱われることがある。Hexisea属の蘭はハチドリによって花粉を媒介される。

Hexisea bidentata
バルブの横断面は丸く、花の色はオレンジ赤、唇弁上のカルスは栗色
Hexisea imbricata
バルブはやや扁平、花の色はオレンジ赤、唇弁上のカルスは黄色
Houlletia tigrina
着生種、希少種。まだパナマ東部に多く残っている。

Huntleya属

植物の姿はChondrorhynchaに似ているが、大型で葉は平滑で、花も完全に開く。

Huntleya burtii
花の直径は8-9cmあり、通常1-2花が同時に咲く。
Huntleya fasciata
花の直径はH. Burtiiより小さく、通常数花が同時に咲く。
Isochilus属

この属の蘭は着生種で、茎は細長く、葉も細い。花茎は弓状で上部に花が付く。メキシコを中心とする中米諸国に分布している。

Isochilus liniaris
苞は目立たない。多くのIsochilusは全てこの種に分類されているが、最近では細分する方向にあり、一層の検討が必要とされている。植物の大きさは30cm程度。
Isochilus major
苞は大きく、開花時には赤みを帯びる。植物の大きさは50cm程度。

Gongora属

メキシコからボリビアにかけて50種類以上が分布する。いずれも熱帯雨林の着生種で雄のユーグレシンビーによって花粉を媒介される。

Gongora quinquenervis
メキシコからボリビアにかけて広く分布する種類であるが、分類上雑多な種類がこの中に含まれており今後の研究でさらに整理される必要がある。
Gongora tricolor
この種はパナマ固有種である。花の色は黄色く、赤褐色の斑点が多数入る。
Eriopsis biloba
Eriopsis属はホンジュラスからブラジルに至る熱帯アメリカに数種が知られる小さな属で、E. bilobaはコスタリカ、パナマ及び南米の一部に生息する。
Eulophia alta
Eulophia属は約250種類が熱帯アフリカを中心に分布する属で、主に地生蘭である。中央アメリカではEulophia altaだけが分布している。茎の高さが1.5mに達する背の高い蘭である。
Galeottia grandiflora
Galeotia属はメキシコからブラジルにかけて分布する小さな属である。パナマ、コスタリカを含む中央アメリカにはG. grandifloraだけが知られている。熱帯雨林の着生種。

Epidendrum属

この属には1000種類以上が属し、フロリダ半島から北部アルゼンチンまでの全熱帯アメリカに分布している。パナマにも多数の種類がある。この属の多くの種では蕊柱と唇弁が癒合して蜜腺を形成している。

Epidendrum ciliare
花は白く、唇弁の側裂片が細かく分かれていてサギソウの花をイメージさせる。パナマやコスタリカ周辺国に広く分布している。パナマでは、よく庭の大木に着生しているのを見かける。
Epidendrum criniferum
花弁やがく片は緑色に多数の濃い紅褐色の斑点があり、唇弁は白く、側裂片が細かく分かれていて美しい。比較的小型で繊細な感じのする蘭である。パナマやコスタリカ周辺国に広く分布している。
Epidendrum nocturnum
パナマやコスタリカ周辺国に広く分布している。花は夜間芳香を放つ。
Epidendrum pendens
植物全体が灰緑色で着生した樹木から下垂する。花も同じ色である。パナマの山岳地帯やコスタリカに分布する。
Epidendrum peperomia
花弁やがく片は緑色だが、唇弁は紫紅色。10cm程度の小形な蘭。パナマやコスタリカ周辺国に広く分布している。
Epidendrum schlechterianum
パナマ固有種。葉の花もブロンズがかった緑色。がく片の長さは2cm程度。
Epidendrum stamfordianum
花茎はバルブの横から出る。パナマやコスタリカ周辺国に広く分布している。山野の樹木に着生していて、乾季の始めに多数の花をつける。
Encyclia

Encyclia属についてパナマに分布する主な種類をご紹介します。この属はEpidendrumとともにCattleya属と近縁で、250種類近くもが熱帯アメリカに分布する大きな仲間でパナマにも30種類以上が分布しています。

E. sima
本種はEl Valleで撮影されたもので、パナマ固有種で大変よいに香りがあります。
Encyclia cochleata
本種は北アメリカからコロンビア、ベネズエラまで広い地域に分布する。 この写真はBoqueteで撮影したものである。
Encyclia fragrans
本種もメキシコからブラジルまで広く分布している。花はよい香りがあり、乾季に咲く。この写真は12月にBocas del Toroの海岸でヤシの樹に着生していた個体を撮影したものである。
Encyclia cordigera
本種もメキシコからコロンビア付近までに分布する種で、Encyclia属の中でも特に美しい花をつける。パナマではSemana santaの名前で知られ、国花Espiritu Santoと並んで国民に慣れ親しまれている。毎年復活祭の前の聖週間に開花することからこの名がつけられている。花弁の色などに変異が多い。パナマの種類は花弁の中心に濃い紫色の線が入り全体にピンクのものが多い。非常に強健な種類で牧場の中の立ち木などに着生し、遠目には花咲爺さんの枯れ木に花という感じです。

Dichaea panamensis
本属はメキシコからブラジルまで広くアメリカ大陸に分布する属で、バルブがなく単茎種である。唇弁は碇型をしている。パナマには10種類以上が知られている。この写真はLa Yeguadaにて撮影したものである。
Dimerandra elegans
本属はアメリカ大陸の低地帯に広く分布。パナマでも2種類が主に乾燥した森林に生育している。この写真はBoqueteにて撮影された。
Dracula erithrochaete
本属は主にコロンビア、エクアドルの高冷地に分布し、パナマでは2種類が多湿の雲霧林に知られている。 本種はパナマ西部の山岳地帯に分布する。写真の個体はEl Valleにて撮影した。
Dresslerella hispida
本属は中米及びペルーまでの南米アンデス山中に8種が分布する稀少な植物。パナマには4種が知られている。この写真はEl ValleのLa Mesaで撮影された。

Dresslelia sp.
本属はニカラグアからペルーにかけて5種類が知られている。パナマには3種類が存在し、本種はEl Valle固有の種類でパナマでも他の地方には分布していない。

Coeliopsis hyacinthosma
コスタリカとパナマだけに知られる蘭。1属1種。花は独特のつやのある白色で、強い香りがある。カリブ海沿岸にはより花の大きな個体が知られている。El Valle市場で撮影。熱帯雲霧林に着生する仲間で生育環境の保全が重要である。

Coryanthes maculata
約30種類が熱帯アメリカの低地に分布。主にアリの巣の上に生育し極酸性の培地を好むとされている。またアリはこの蘭の根や茎葉部を守るとされている。パナマには3種類が知られている。個体数も少なくまた栽培は非常に難しい。La Mesaで撮影。
Cycnoches
熱帯アメリカ広域に分布。パナマでは広い地域にC. aureum, C. dianae, C. warscewicziiなどが分布している。一般に雌雄の花の形態が異なる。雌花は唇弁が単純なハート型をしている。雄花は蕊柱が長く湾曲していて、唇弁の先は複雑に分岐している。


Cycnoches aureum

Cycnoches guttulatum

Cycnoches warscewiczii
El Valleで撮影
El Valleで撮影
Chiriquiで採取された個体

Clowesia warscewiczii
この属ではメキシコからエクアドルにかけて6種類が分布している。パナマにはClowesia warscewiczii一種類が知られている。本種はエルバジェ周辺の熱帯雨林に多く分布していて、El Valleの日曜市でも良く見かける。熱帯雨林の伐採による絶滅が危惧される。
Cochleanthes discolor
本属はコスタリカからペルーの間に15種類が分布している。 この内パナマでは3から4種類が知られている。C. discolorは中でも美しく、コスタリカとパナマの山岳地帯に成育している。La Mesaにて撮影。熱帯雲霧林に着生する仲間で生育環境の保全が重要である。

Cattleya patinii
Cattleya属は中央アメリカから南アメリカにかけて約30種類が分布。パナマでは低地帯の熱帯雨林にC.dowianaが、山岳地帯にC.patiniiが生育。コスタリカの国花C. skinneriはC. patiniiと近縁である。熱帯雨林の着生種で、一次林の保護が重要である。

Cischweinfia dayandra
Cischweinfia pusilla
この属の蘭はコスタリカからボリビアにかけて7種あり、パナマにはC. dayandraとC. pusillaの2種が知られている。可憐な小型の蘭でエルバジェ周辺の森に樹上に着生している。熱帯雨林の保護・保全が重要である。
Brassavola nodosa
Brassavola属は熱帯アメリカの低地帯に広く分布しおり、パナマでは2種類が知られている。B. nodosaは普通に見られ、Via Espana通りやPanama viejoの街路樹にも沢山白い花を咲かせている。
Brassia arcuigera
Brassia属は熱帯アメリカに広く29種が分布している。パナマには3種類が湿度の高い熱帯雨林の樹上に着生している。花が大きく、花持ちも良く栽培しやすい為園芸品種としても価値が高い。しかし、自然界では熱帯雨林と共に進化してきた種類で熱帯雨林の存続が欠かせない。
Catasetum viridiflavum

Catasetum属はメキシコからアルゼンチンにかけて約70種類が広く分布している。パナマには3種類が分布。本種は海岸に近い低地帯や農地などの高木にも良く見かけられ、パナマ中央部では最もポピュラーな種類である。


Bletia purpurata
Bletia属は約40種類がフロリダからブラジルまで広く分布。パナマでは3種類が認められている。川岸の岩の上に溜まったわずかな土の上などに生育している地生蘭。護岸工事などで生育環境が失われないよう注意が必要である。
Aspacia principisa
Aspacia属はグアテマラからブラジルまでの中南米に8種類が分布している。 パナマにはA. epidendroidesと A. principisaの2種類がある。両種とも低地の熱帯雨林の中でよく見かける
Aspacia epidendroides
Aspacia属はグアテマラからブラジルまでの中南米に8種類が分布している。 パナマにはA. epidendroidesと A. principisaの2種類がある。両種とも低地の熱帯雨林の中でよく見かける
Ada allenii
Ada属はコスタリカからベネズエラ、ペルーにかけての雲霧林に分布。パナマにはA.alleniiとA.chloropsの2種類がある。熱帯雨林の中の着生蘭であるので、一次林の伐採による消滅と運命を共にしている。
Acostaea costaricensis
Acostaea属は中央アメリカからコロンビア、エクアドルにかけて分布。パナマにはA.ostaricensis一種類が知られている。背萼片(はいがくへん)は、こっぽりとした椀状になっていて、刺激があると上に向かって閉じる唇弁と蕊柱(ずいちゅう)を保護する独特の構造を持っている。花は一年中次から次へと開花する。
Acineta chrysantha

Acineta属はメキシコからペルーにかけての中南米諸国に分布し、約20種類が知られている。多くは、アンデス山脈の高地に分布している。Acineta属はパナマでは3種類が知られているが、個体数が少なく絶滅が危惧されている。


Sobralia bouchei
Soblariaの仲間は大きく美しい色彩の花をつける。 パナマの熱帯雨林の林床には 15種類以上が自生している。 残念なことに多くは一日花である。

Peristeria elata
パナマ共和国の国花。スペイン語でEspiritu Santo。直径15cmにもなる偽球茎を持ち、花茎は人の背丈より高くなる大柄な蘭。香りも高く高貴である。絶滅危惧種としてワシントン条約でも付属書Tに入れられている。

Neomoorea irrorata
かつてはエルバジェの川岸に沢山自生していた種類であるが、現在では多くの自生地は消滅してしまった絶滅危惧種。

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パナマ野生蘭保護活動グループ 〜 NPO法人 森と海の共生・ネットワーク所属