Gongora属はEpidendroideae亜科Cymbidieae連Stanhopeinae亜連に属します。
着生ランで、角ばった球形の偽球形に2~3枚の薄く多くの葉脈が入った葉をつけ、偽球形の基部から花茎を伸ばし、下垂した花梗に唇弁を上にした花が咲きます。多くの場合株の中にアリの巣がありアリと共生しています。
本属の花粉媒介昆虫は、近縁のStanhopea属と同様、Euglossine bee(ミツバチ科シタバチ)の雄蜂だけです。
雄バチはGongoraの花の強い香りに誘引され、花の中の芳香性物質 に到達しようとすることによって受粉が行われます。芳香性物質はGongoraの種ごとに異なり、各物質は一種あるいは少数の種の蜂を誘引することが目的だと考えられています。 芳香性物質はGongoraの種だけではなく、一日の中の時間や花の古さによっても異なるようです。
雄バチはこの芳香性物質を雌バチへのプレゼントにするようです。
Gongora属 69 種がメキシコから南米ボリビアやブラジルまでに分布します。
本属の分布はカリブ諸島を除く熱帯アメリカで、Gongora atropurpurea とGongora maculata はトリニダード諸島にも見られますが、トリニダード諸島は植物相から見て南アメリカに属すると考えられます。トリニダード諸島以外のカリブ諸島には全く分布しません。南米大陸における分布はアンデス山脈の西側のコロンビアやエクアドルなどとアンデス山脈の東向き斜面のペルーやボリビアなどに多く、ヴェネズエラ、ギアナやブラジルに分布する種はわずかです。
パナマには約10種のGongora が分布します。代表的種は次の通りです。
Gongora armeniaca:ニカラグア,コスタリカ、パナマに分布
Gongora gibba:パナマ固有種
Gongora horichiana:コスタリカ、パナマ西部に分布
Gongora leucochila:メキシコ南部からパナマまでに分布
Gongora powellii:パナマ及びコロンビア北西部に分布
Gongora tricolor:コスタリカ、パナマに分布