COSPA パナマ野生蘭保護活動

パナマのランの故郷②

~アフリカ大陸編~

   アフリカ大陸もパナマのランの故郷の一つです。

   パナマのランの中にはアフリカ大陸からやってきたというものがあります。大西洋を横断してはるばるやってきたとは考えにくいでしょうか?しかし「パナマのランの故郷」で触れたバニラアイスクリームの香りの元であるラン科植物Vanilla属は南米大陸からアフリカ大陸に長距離分散したとされていますから、逆にアフリカ大陸から南アメリカやパナマにやってきたランもあっておかしくはないでしょう。

   パナマにも分布するアフリカ起源のランとしてはEulophia altaOeclades macuataの2種が挙げられます。

Eulophia alta

Eulophia alta, El Valle

   パナマに分布するEulophia属植物はEulophia altaただ一種です。

※色が濃いところほどEulophia属の種類の数が多く分布している。

   Eulophia属は200種以上ありますが、主にアフリカ大陸とインド洋諸島からニューギニアまでのアジアに分布していて、新世界に分布するものはEulophia altaEulophia pottosiiの2種だけです。Eulophia altaはアフリカ大陸の中央部と北米フロリダ、ジョージア州からパナマを含む中米諸国やカリブ海諸国、南米のアルゼンチンまで広い地域に分布します。一方、Eulophia pottosiiは北米フロリダ州北西部だけに分布する種でアフリカには分布しません。Eulophia altaはアフリカ大陸や新世界に多いクマバチの仲間によって受粉され、自家受粉しやすいランです。こんなこともこのランがパナマを含め広く中南米に広がった理由かもしれませんね。

Oeclades macuata

   Oeceoclades属は38種がアフリカに分布します。

※色が濃いところほどOeceoclaes属の種類の数が多く分布している。

   アフリカ大陸と言うよりも、マダガスカル島に多くの種が分布しています。Eulophia属とは異なりアジアには分布していません。多くの種のうちOeclades macuataだけはアフリカ大陸のみならずグアテマラから南の中米やカリブ諸島から南米大陸まで広く分布しています。このランが初めて新世界で見つかったのは1829年のブラジルでした。奴隷によって薬用植物としてアフリカからもたらされたのだろうと想像されています。Oeclades macuataは雨水やアリによって自家受粉されると言われています。

   遠い故郷を離れ、どのような手段で広まっていくのでしょうか。彼らにとって人間も敵でもありますがただの手段でもあるのかもしれません。