
Cycnoches属はEpidendroideae亜科, Cymbidieae連, Catasetinae亜連に属する着生ランで、細長い節のある偽球茎に数枚の落葉性の薄い葉と花茎を生じます。花は単性花で雄花と雌花は形体が異なり、同じ花茎に雌雄の花をつけることもあります。雄性花は雌性花より多く付き、長い蕊柱に送粉者に張り付くようばねのついた花粉塊を生じます。本属は低地の湿潤な森の樹木や倒木に着いていることが多いです。ラン科植物の進化の過程ではEpidendroideae亜科は比較的新しい仲間で、そのうちでもCatasetumやCycnoches属は雌雄別々な花を持つように進化したとされます。Cycnoches属の祖先植物が生まれたのはパナマ地峡が誕生した今から約300万年前以降とされています。
約30種が南米大陸北西部や中米など新熱帯に広く分布しています。しかしながらカリブ諸島には分布していません。おそらくエクアドル、コロンビア、ベネズエラあたりのアンデス山脈の北西部で生まれ、パナマ地峡を通って中米に分布したとかんがえられます。

パナマには 約10種のCycnochesが分布するとされています。そのうちでも以下の5種はエルバジェ周辺で多く見かけます。
Cycnoches aureum
コスタリカとパナマに分布しています。雄花は掌状の特徴的な唇弁を持ちます。
Cycnoches chlorochilon
パナマの南東部からコロンビア、ベネズエラに分布しています。
Cycnoches dianae
パナマに固有の種で、パナマで絶滅すると世界から消滅してしまいます。雄花は掌状の特徴的な唇弁を持ちます。
Cycnoches egertonianum

中米メキシコ、グアテマラから南米コロンビア、ペルー、ブラジルまで広く分布しています。雄花は掌状の唇弁を持ちます。
Cycnoches warscewiczii
コスタリカからコロンビアに分布します。