
「パナマをご存知ですか」と言っても、「ああ、パナマ運河のある国ね」と言う返事しか返ってこないことが多い。パナマ共和国の首都パナマ市は東京やニューヨークと見まがうばかりの摩天楼が林立する近代都市です。市内には多くの歴史的建造物が残る町でもあり、目抜き通りビアエスパニャに面して優美なカルメン教会があります。また、パナマ市を基点にカリブ海に向けてパナマ運河が始まります。この運河には3箇所の閘門があり、一番太平洋側に位置するのはミラフローレス閘門です。

パナマには、ヨーロッパ人による新世界の征服(マヤ、アステカ、インカなど)の拠点が多数遺跡として残されています。例えば、パナマ市の郊外にあるパナマビエホは1519年にスペイン人が南北アメリカ大陸の太平洋側に始めて作った都市の遺跡です。フランシス・ピサロやフェルナン・コルテスもここに住んで、ここからインカやアステカの征服に出発しています。17世紀イギリスはスペインの新世界における権益を簒奪すべく、私掠船を積極的に派遣しました。この街は1671年遂に英国の海賊ヘンリー・モーガンによって襲撃され一夜にして廃墟と化したそうです。新大陸の黄金をスペインに向けて運搬したCamino de Oro(黄金の道)の跡が今でもパナマビエホからカリブ海(大西洋)に向けて残っています。パナマビエホについで作られた街が世界遺産カスコビエホで、現在のパナマ市新市街の南側に広がっています。ここからはパナマ運河の入り口も望め、運河掘削の事業もここに本拠を置いたフランスのレセップスによって始められました(1880年)。それ故、今でもフランス大使館やパナマの大領官邸はこの歴史のある町にあります。ここにはパナマカトリックの大本山カテドラルがありますが、いたって庶民的でクリスマスをはじめ多くの行事やお祭りが行われます。カスコビエホ以外にもスペインがカリブ海側に開いた街(ポルトベロ)や要塞(サンロレンソ)の遺跡が世界歴史遺産に指定されています。

パナマの良いところは寧ろパナマ市の外にあります。何と言っても熱帯の自然はすばらしいものです。カリブ海に浮かぶ360を超える島々は原住民クナ族の自治区サンブラス諸島です。ボカスデルトロはコスタリカ国境に近いカリブ海側の国立公園で、魚や動植物など自然がいっぱいのです。その他パナマ市から西に向かって、太平洋側には沢山の海浜リゾートがあり、ダイビングのメッカです。コスタリカ寄りの山岳地帯にはこの国の最高峰セロ・ボルカン(3475m)があり、その山麓には広大なコーヒー園や由緒ある別荘地帯が広がっています。一方、パナマ市から車で約2時間西に行くと、中米で最大のカルデラを持つエルバジェ火山があります。カルデラの中にある高原の村エルバジェ デ アントンは一年中花と緑に囲まれ、熱帯雲霧林に覆われたセロ・ガイタール自然保護区のある避暑地です。